年度末もおしつまり、3月さいごの平日の夜でおます。
 さすがに、年度末というのはお運びも少のうございますが、それでもお越しいただきましたお客さま、おおきにありがとうございます。

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 年度末は区切りよく、第一回太郎寄席の桂文三はんが主役でおます。
 まず、最初に桂ちきんはんの前座。「煮売り屋」でおます。きん枝師匠への入門が2008年秋でおますから、「大阪名物くいだおれ」をやっておったときはまだ噺家さんになってはらへんのやな。まだ20代とお若いのでおますが、「太郎寄席」は毎度毎度、前座はんといえどもよう笑わせてくれはります。楽しみでおますな。
 
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 さて、文三はんの一席目は「京の茶漬け」でおます。これは、まあ、何と言うたらええのか、これほど京都人をおちょくった噺もないのでおますのやが、大阪ではほんまに定番になっておる噺でおますな。
 かの有名な、「どうぞぶぶ漬(お茶漬け)でも召し上がっていっておくれやす」というあの京都の挨拶、ただの挨拶やさかい無理やり真に受けるほうがおかしいのでおますのやが、いっぺんほんまに「京の茶漬け」を食べて帰ったろという大阪の男と、京の町屋の奥さんの攻防が面白うおます。
 京都のお方がたはこの噺、どない思うてはるのでっしゃろな。いかにも京都らしいシマツ(ケチ)と、「ぶぶ漬でも・・」という心にもないような挨拶のおかしさを笑うているようでおますが、そやけど、なんべんこの噺を聴いても、ずうずうしゅうて困るのは大阪の男の方でおますなあ。なんや、京の奥さんの方が気の毒になってきますのや。そのあたりが、この噺の面白いところでおますかな。文三さんのお師匠さんの文枝師匠もよう高座に上げてはりましてん。

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 つづいては風喬はんの「試し酒」でおます。「酒が五升飲めるか」と試される男は、まだ訛りの抜けない田舎者という設定の噺でおますのやが、これを上手にやるのがなかなか難しいのやろうと思います。東京のお方が大阪弁をしゃべるのがなかなかでけんように、都会の人間が田舎の訛りをそれらしい雰囲気でしゃべるというのは難しゅうおます。
 風喬はん、出身が九州ということでおますが、なるほど九州男児らしいええ「田舎モン」を演じはりますなあ。これはええ雰囲気でおました。わてら大阪の人間にはこればっかりはマネでけまへん。やっぱり落語というのは「話芸」でおますな。訛りひとつ、雰囲気ひとつで面白うもなり、つまらなくもなるもんでおますな。

 さて、中入りの後はちょっとお遊びでおます。
 「太郎寄席」は、はじめに参加していただいた噺家さんのご要望もあり、またこちらの希望でもありましてぜいたくに生の鳴り物を入れております。簡易な会やったら出囃子もCDで鳴らすところ、毎回毎回、若手とはいえほんまもんの下座の囃子方はんが来て弾いてくれてはりますのや。
そやさかい、出囃子だけやったらもったいないさかい、毎回一席は「はめもの」いうて、鳴り物の入る噺がかかりますねん。東京の落語ファンの方々はちょっとなじみのない演出でおますようやけど、高座と下座と、ばっちり息の合うたハメモンはほんまに艶があってええもんでおまっせ。

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さて、今日の文三さんのお遊びは、下座の太鼓を持ち出しまして、「出囃子はどない打っておるか」の舞台裏でおます。出囃子いうのは、専門の囃子方はんがやるのではのうて、こないして噺家はんが交代で打ちはることが多いのでおますな。そらそうですな。こんな小さい会でいちいち三人も四人も囃子方入れておったらソロバンが合いまへん。
大太鼓、太鼓、鉦それぞれ一人ずつつくのがふつうでおますのやが、中には手が足らんこともあって、独りで二つ、右手に違うバチを持って打つこともおますのやそうな。これはまた、観ておるだけで大変そうでおます。噺家はんというもんは器用でないとつとまらんのでおますな。
こんで、文枝師匠の出囃子、誰それの出囃子、とひととおりやってみせはりますのや。年度末のオマケでおます。これはなかなか見られるもんやおまへん。今日のお客さん、えらいトクしはりました。

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さて、ほんで今年度の仕舞いの大トリは「悋気の独楽」でおます。これは文三はんのお得意の噺でおますな。お妾はん(大阪では「おてかけはん」と言いますのやな)のところへ泊ってゆくけど、御寮さんには黙っときやと因果を含められる丁稚と、口を割らせようとする御寮さんの、これまた攻防が面白うおますのや。さらに、そこへ「お竹どん」いうこわいこわい女子衆(おなごし)が登場するのが噺のようでけたところで、この丁稚と女子衆はんと御寮さんのやりとりの「間」が、文三はんのお得意のところでおます。

ええ区切りの「太郎寄席」でおました。
どうぞ、ひきつづきご贔屓によろしゅうおたの申します。
4月の会は16日(月)と25日(水)。16日は桂米紫はん、25日は笑福亭生喬はんが主役でおます。「道頓堀Zaza」のサイトでチェックしてみておくなはれや!

「道頓堀 太郎寄席」もようよう半年を迎えます。
おかげさまで今月からは月半ばに「藍の会」、月末ころに「松の会」と銘打って、月二回ずつやらしていただくことになりました。

さて「藍の会」の第1回めは、先月ゲストでお出ましいただきました、月亭遊方はんがメイン出演者でおます。

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まずは笑福亭智六はんの前座は「動物園」でおます。ええお年なのやけど前座で出てはるのは、入門が遅うて、まだ芸歴も浅いということでおます。さすがにおちついた前座はんでおますが、「動物園」を前座でやるというのもまた大胆な趣向でおますな。長うもなる噺をくるくるっとまとめたような印象でおました。

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ほんで、遊方さんの出番でおます。お噺の「隣人(ネイバーズ)」は遊方はんの自作の噺やそうで、いかにも現代的なマンションが舞台なんでおますけど、舞台の設定としては古典的な長屋暮らしをひとひねりしたようにも思えますな。なるほど、幕末の落語の庶民が現代になったらこないなるかいな、とも思える、ようでけたお噺でおました。

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今日は、ここで中入りでおまして、つづいて桂米紫はんの「宗論」でおます。信心深い船場の旦さんのとこのボンがキリスト教になってしもて、旦さんが意見する噺でおます。ボンボン、日本人なのやさかい日本語でしゃべればええところを、いかにも外人が日本語喋っておるかのようにやってはりますのや。それがまた、いかにも西洋の宗教にかぶれた若旦さん、という風情で妙なリアリティがおますなあ。

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ほんで大トリに、ふたたび遊方はんでおます。
遊方はんはたいてい新作をしやはるのやと思うておったら、今日のトリの噺は古典の「はてなの茶碗」でおました。わてが今まで観たことのある「はてなの茶碗」は、いかにも古典的なゆったりした語り口が多かったように思いますのやが、遊方はんのはすっかり遊方はんの語り口で、ぽんぽんとたたんで片づけたような、すっきりした噺でおました。

遊方はんというお方は、語り口もイデタチも、いかにもアバンギャルドな八方破れな感じでおますけど、楽屋で落語論を始めたら止まりはらへんのでおまっせ。
これからも、そういう熱心な噺家さんたちにお出ましいただいてまいります。「道頓堀 太郎寄席 藍の会」、おなじく「松の会」、どうぞひきつづきご贔屓によろしゅうおたのもうします。

わての「道頓堀 太郎寄席」、今回で5回目を迎えますねん。
おかげさまで、少しずつ賑やかになっております。

さて、今回は笑福亭たまはんの会でおます。

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前座は米朝一門、桂塩鯛はんのお弟子さんの桂小鯛はん、「口合小町」でおます。
太郎寄席はいつも、前座さんからえらいようウケますのやけど、今回はひときわでおましたなあ。小鯛はん、まだ30前なのやけど、そんな若いとは思えんほど堂々として、ええテンポで噺をしはりますのや。上方落語の将来は明るうおまっせ。

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ひきつづいては、前回の主役の生喬はん、「辻占茶屋」でおます。芸の幅の広いお方でおますが、今回は芝居もんでおます。お茶屋の女子にだまされるアホな男の話で、ハメモン(鳴り物入り)でおましてん。三味線と唄がええ雰囲気でおましてな。舞台は難波新地。いうたら、この道頓堀の裏側でおます。ホウフツとしてまいりますなあ。
太郎寄席はマイクをつかわんさかい、三味線も唄も生で聞こえてまいりますところが、また、華やかな色気があって、ええもんでおます。ああ、しあわせなキブンでおました。

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中トリは、今日の主役のたまはんでおます。
最初のネタは福笑師匠作の「山寺飄吉」でおます。脱獄囚が母子を人質をとって立てこもって、ヨメさんに会わせ、いうて騒ぎになる噺でおますのやが、この噺はたまはんのためにあるのとちがうかと思うほど、ユカイでおました。主人公の老刑事、山寺飄吉の描写も面白うおますのやけど、人質にとられた母親が、またおよそ同情を誘わんような、そやけど、どっかにおりそうな人物でおまして、ひたすらユカイに話が進んでゆくのでおました。

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さて、中入りの後は月亭遊方はんでおます。
デニムの着物にビニールの羽織。現代的なイデタチでおますが、噺も「憧れの一人暮らし」いう、新作でおます。独り暮らしの部屋を探して不動産屋でかちおうた息子と父親の噺でおます。話の筋はないも同然でおますのやが、あちこちのくすぐりが可笑しおますのやな。こういうのンも、落語の噺の醍醐味でおまっしゃろかなあ。落語も古典ばかりやのうて、こないな新作も面白いもんでおますな。

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ほんで、大トリにもういっぺん、たまはんでおます。
噺は「芝浜」。「芝浜」でおますか。
これは、東京の噺家さん方や、東京の落語ファンが大好きな噺でおますな。東京ではこれがでけたら一人前やそうな。40分とか45分とかかかる、大きな人情噺でおます。
ところが、これが上方ではもうひとつウケませんのやな。芝の浜を住吉の浜に翻案した「夢の革財布」という題名で、噺も短うしてやりはるのやそうなけど、もともとがあんまり笑うところのない噺でおますし、ちょっと道徳のお話みたいなところが、東京でウケて、上方でウケんところかいなと思うてましてん。
そやさかい、たまはんが「芝浜やります」いうて言いはったときは、どないなことしはるのかいなと思いましてんけど、有名な小佐田はんいう作家はんの「夢の革財布」が切り捨てたところを拾うて、拾うたところを切り捨てた、っちゅうことでおますねん。
こちらも、20分ちょっとに短うにしたお噺でおましたのやけど、こういうやり方があったのやなあ、というエエ作品でおましてん。東京やったら、人情噺でどんどん盛り上がってお涙ほろり、となるところで、たまはんの噺は、二階から落とすみたいにすとーん、と落としはりますのや。それだけに可笑しゅうて、可笑しゅうて、ユカイでおますねん。
こないなところが、上方気質でおますのやな。東京のファンの方々には、ふざけるな、いうて言われるかもしれまへんのやけど、わてはこっちが好きでおますなあ。やっぱり、東京の落語と上方の落語いうのは、同じ落語というても、全然違うもんかもしれませんな。
さすがに、たまはん、京大出の噺家さんだけあって、ブッ飛んではりますわ・・・。

今日も、新しいハッケンのあった会でおました。
席亭冥利につきますなあ。
出演者のみなさん、お運びいただいたお客さま、みなさんおおきにありがとうございました。

さて、「道頓堀 太郎寄席」、来月からは月2回の開催と相成りますねん。
だいたい月半ばと、月の終わりごろになりまして、半ばの方の「藍の会」、末の方を「松の会」ということでご案内さしあげますねん。

今後とも、「道頓堀 太郎寄席」、どうぞご贔屓におたのもうしますねん。

テレビ大阪はんは今年が開局30周年なのやそうでおますな。
ほんで、系列のテレビ東京がそのお祝いに、人気の歌番組に大阪の歌い手さんたちを集めはりまして、わても応援に行ってまいりましてん。

去年の秋に復活した「木曜8時のコンサート」いう番組で、大きな会場の生演奏で収録しますねん。
テレビ大阪はんの開局30周年に合わせた回は、「宗右衛門町ブルース」の平和勝次はん、NHK紅白歌合戦でもご一緒させていただいた中村美律子はん、それに、このところ有山じゅんじはんや清水興はんといっしょによう遊んでいただいておる、香西かおりはんのご登場でおます。

わては、歌を歌えるわけでもおまへんさかい、ゲスト席で見せてもろうておっただけでおます。お隣が美川憲一はんでおまして、わて、ちょっと緊張しておりましてん。

今日びにしては贅沢な作りでおましてな。ほかには前川清はんやら、渥美二郎はんやら、出演者もええ顔ぶれでおますけど、生のビッグバンドと、生の弦楽器オーケストラが舞台に上がっておりましてな。大阪の歌のところは15分ほどのメドレーでおましてんけど、やっぱりそういうのは生バンドならではでおますな。やっぱり、大きなオーケストラの生演奏の生の歌というのは、よろしおますなあ。

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控室はロス・プロモスはんと相部屋でおまして、記念写真撮ってきましてん。
楽しい仕事、させてもらいましてん。

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放送は3月1日木曜日の夜8時でおます。テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、九州放送でかかるのやそうな。

みなさん、観ておくなはれや。

今年最初の「道頓堀 太郎寄席」は、笑福亭生喬はんを主役にお迎えしての開催でおました。

まず前座は露の眞はんの「寿限無(じゅげむ)」でおます。あの、長い長い名前をつけられて難儀するというおなじみのお噺でおますな。わても、若いころはマネしてよう暗唱したもんでおます。「じゅげむ、じゅげむ、ゴコウのすりきれ」いうのんは、覚えたら面白うて、言うてみとうなるもんでおますねん。今日は初手から、女流の可愛らしい噺でおました。

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つづいて、前回の主役、林家花丸はんの「鉄砲勇助」でおます。しょうもないホラ吹きの噺でおますな。山道で山賊に会うてやっつけた、いうて、でけもせんことをしゃべるのでおますのやが、これがまた、あんまりにアホらしゅうて笑うてしまいますのやなあ。ほんで、今日はまた、花丸はんの個性が合うてはるのか、「そんなアホな」いうようなホラをしゃあしゃあと喋ってみせるのが、やっぱりこれも芸でおますなあ。

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ほんで、中トリで生喬はんの登場でおます。お噺は「蔵丁稚」でおます。芝居が好きで好きで、仕事さぼって一日芝居小屋にいてるような丁稚が旦さんに叱られて、お仕置きで蔵に閉じ込められたら、その蔵の中でも一人で芝居する、ちゅうけったいな噺でおますのやが、こういう芝居がかった語り口、生喬はん、上手に演りはりますなあ。ご本人も宝塚に通うてはるそうなけど、ほんまにお芝居がお好きなんでおますな。

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中入りの後はまず、笑福亭たまはんでおます。「茶屋迎い」いうて、道楽息子を迎えに行く旦さんの噺でおます。昔のこっちゃから、新町のことでおますかな。これまた、そんなアホな、いう軽い噺でおますのやが、スッとしてはるたまはんが演りはるところが、お茶屋の味がよう出てよろしゅうおます。

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生喬はんの大トリは、「天王寺詣り」でおました。話の筋じたいは、飼い犬が死んだ供養に天王寺さんに鐘つきにゆくだけのシンプルな噺でおますのやが、あちこちに細かいくすぐりがあって、また天王寺さんの名所案内にもなっておって、華のあるお噺でおます。わても、何人かの噺家さんの「天王寺詣り」を聞いておりますが、それぞれに違った味が出てくる、不思議な噺でおます。

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会場にお越しのお客さんがけっこうアンケートを書いてくれてはります。落語は初めてというお客様も案外おいでになっておりまして、「落語がこんなに面白いとは知らなかった」いうて、ファンになってくださる方が毎回何人もいてはりますねん。
そういうお方が一人でも二人でも増えてほしいな、と思うてこの落語会を始めましたさかい、そない書いていただけるとほんまに嬉しおますねん。

噺家さんがたも、この小屋がほどよい大きさでええ、いうて、毎回この小屋のファンになってくれはりまして、三月からは毎月二回ずつの開かしていただくことになりましてん。その代りというわけではないのやけど、わてはいつも前の方に座っておりましたが、「どうも気が散ってやりにくい」いうて言われまして、今回からはいちばん後ろで見ておることにいたしましてん。
会場にお越しのお客さんも、わての写真を撮ってくれてはります。ご遠慮は無用でおまっせ。
今年も、「道頓堀 太郎寄席」、どうぞご贔屓に、よろしゅうおたのもうします。

宝恵籠

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新年あけましておめでとうさんでございます。
本年もどうぞよろしゅうおたのもうします。

さて、今年も道頓堀は元日から賑やかでおました。
なんでも京セラドームで年越しの大きな催しがあったそうな。元日から、若いお嬢さんたちでミナミはにぎわっておりましてん。

さて、ミナミのお正月といえば、やっぱり「えべっさん」でおます。
ミナミは、毎年正月十日の今宮戎さんの「宝恵籠」(ほえかご)行列が済まんことには正月を過ごした気がしませんのやな。

宝恵籠いうのは、聖徳太子さんが建てはった愛染(あいぜん)さんに芸者はんが駕籠に乗ってお参りした、というのがもともとだそうでおます。今でも、毎年六月の愛染さんのお祭りでは、べっぴんさんの福娘さんが「べっぴんさんじゃー、ほーえーかーご」言うて練り歩きはりますなあ。

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そやけど、行事としてはえべっさんの宝恵籠の方が賑やかなんとちがいますかなあ。
長い長い行列が島之内を出発して、えべっさんまで参ります、その道中でおますのや。
芸者はんだけやのうて、大阪の有名人が駕籠へ乗りはりましてな。昔は歌舞伎の役者さんが多かったのやけど、最近はテレビのタレントさんでおますな。
今年は、去年世界一周マラソン終えはった間寛平はんやら、恒例のNHKの連続テレビ小説のヒロイン、今年は「カーネーション」の尾野真千子さんやらでおました。

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中座くいだおれビルの、わてが太鼓叩いておる前でも、祝詞あげて大阪締めを締めてくれはりますねん。こちらはそのあと振る舞い酒でおます。

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ああ、今年も大阪のお正月を迎えて、わてもええ気分でおます。

本年も、どうぞよろしゅう。

「道頓堀 太郎寄席」、早くも3回目でおます。
今回は、林家花丸はんがメイン出演者でおますねん。桂文三はんと同期でおますな。名前のとおり、華のある芸のお方でおます。

今日のゲストは、前回主役やった桂春蝶はんと、これまた花丸はんと同期の笑福亭生喬はんでおます。前座は、生喬はんのお弟子さんの笑福亭生寿はんがつとめはりましてん。


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まずは、生寿はんの「手水廻し」いうお噺でおます。田舎の宿屋で、大阪のお客さんが「チョウズを廻してほしい」いうて言いはったところが、「チョウズ」というのが何のことやらわからんと、おかしなことになってゆくお噺でおます。ここで言う「手水」というのは、歯を磨いたり顔を洗うたりする一式のことでおますねん。前座というはいうものの、なかなかに熱の入ったええお噺でおました。


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つづいて、春蝶はんの「紙入れ」というお噺でおます。
貸本屋の若い衆と、ええとこの奥さんとの艶話でおます。こういうお噺は、大きな会場でやるよりも、こういう小さい小屋の方が雰囲気が出てよろしおますな。


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ほんで、中トリで花丸はんでおます。
「太鼓腹」という、幇間(たいこもち)のお噺でおます。鍼を習うた若旦さんが、なじみの幇間のお腹に鍼打って、抜けんようになってどないもならんようになるお噺でおます。こういう若旦さんやら、幇間やら、そういうなんやわけのわからん人を演じると、花丸さん、ほんまによう似合うというのか、不思議な世界を醸し出しはりますなあ。


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中入りの後は、生喬はんの「豊竹屋」でおました。
これは、浄瑠璃に凝って、なんでも即席で浄瑠璃に語りはる人と、なんでも即席で口三味線で合わしはる人のお噺でおます。生喬はんの渋い声の調子が、ほんまに、まあホンマモンの浄瑠璃の太夫はんそっくりでおますのや。わても文楽人形の出身やさかい、他人事とは思えませんでした。面白おましてん。

最後の大トリに、もういっぺん花丸はんでおます。「幸助餅」という、人情噺でおます。
これは、わてびっくりしましたなあ。上方落語では人情噺というのはほとんどおまへんのやけど、このお噺はようでけておりますねんなあ。東京落語の人情噺とは一味違いますのや。もっと軽みがあって、ぽろり、ぽろぽろと泣かせるところで、どないも笑わんとしょうがないような、上手なくすぐりがぽっと出ますのや。
相撲に入れ込んで身代潰した旦那さんと、その大関まで上り詰めた、昔は横綱というのがなくて、大関がいちばん上やったそうですな、その関取のやりとりが、これが真に迫ってどこがほんまでどこが嘘やわからん、これまた不思議な不思議な世界でおました。

今日もようけお客さん来てくれはりましてん。ありがたいことでおます。
せやけど、今日のお客さん、ぜったいお腹いっぱいでお帰りいただいたことと思いまっせ。えらい、盛りだくさん、密度たっぷり、見ごたえ聴きごたえある落語会でおました。

次回は来年お正月の17日にやりますねん。今度は、笑福亭生喬はんが主役でおます。ぜひ、みなさん、いっぺん足運んでおくんなはれ!

「大阪名物くいだおれ」が閉店した次の年に、やしきたかじんはんの呼びかけで、「OSAKA あかるクラブ」いうのができましてん。
当時の大阪府・橋下知事、大阪市の平松市長も参加しはって、「大阪をあかるくするための会」ということで活動開始しまして、わても結成の時からサポーターとして参加しておりますねん。

そのOSAKA あかるクラブで、毎年12月に「OSAKA GREAT SANTA RUN」いうのをやっておりますねん。参加者みんなが、サンタクロースの恰好して走りますねん。
わては走られへんさかい、今までは遠慮しておりましてんけど、今年は賑やかしのゲストで参加してまいりましてん。

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去年も一昨年も何百人、いう人が参加してくれはったそうなけど、今年はなんとまあ1500人参加ということでおますねん。会場は大阪城公園の野球場から、公園の中を走るのでおますけど、サンタクロースだらけの真っ赤っ赤でおますねん。

今回は、わてらの仲間の株式会社太郎フーズから、わての「くいだおれ太郎プリン ミックスジュース味」を提供してくれはりまして、わて本人がプリンを下げて、応援に行ってまいりましてん。
わて、やしきたかじんさんとは初共演でおます。ちょっと緊張しておりましてん。

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この「GREAT SANTA RUN」では、参加費の一部を阪大病院の小児医療センターと福島の県立大学付属病院の小児科に寄付しますねん。参加費の残りはサンタの衣装代でおます。えらい安い衣装代に上がっておりまして、寄付金はけっこうな金額になるのやそうな。こないして、なんやしらんけどみんなで集まって「わあっー!」ちゅうて、ええことになっているというのが、大阪らしゅうおますなあ。

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コースは大阪城公園の中やさかい、早い人は10分ほどで一周して帰ってきはりますねん。帰ってきはったら、舞台の上のクリスマスツリーに願い事かいたカードをかけて、コカコーラさんの差し入れの「ビタミンウォーター」と、わてのプリンと、ほかにもいろいろもらえますねん。コカコーラさんいうたらFANTAの会社でおますな。今年はしまいまでご縁がおましたなあ。ありがたいことでおます。

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わては、こないして走り終わったランナーさんへのサービスブースの横に、「ごくろうサン」いうてフキダシ出して、座っておりましてん。ほんで、みなさんと記念写真撮っておりましてん。わてのこの記念写真は、大阪エヴェッサいうプロバスケットボールのチアリーダーさんたちでおますねん。わてと同じで、今日のゲストで出演してはりましてん。きれいなおじょうさんがたでおますなあ。

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今年はクリスマスの飾りつけは早うから見えておりましたけれども、何やそんな気分にならへんのか、あんまり街でも音楽がかかっておりませんし、飾りつけもそない増えておりませんな。
今日はサンタさんばっかりぎょうさんいてはって、病気の子供さんたちへのクリスマスプレゼントもあって、ちょっと、ええクリスマス気分を味わってまいりましてん。ああ、よろしゅおました。

早くも「太郎寄席」第2回でおますねん。

さて、第2回は桂春蝶はんが主役でおました。

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40代から上のお方やったら、お父上の二代目春蝶さんをよくご存じやったかもしれません。よう、テレビにも出てはりました。今日の春蝶はんは、その息子はんの三代目でおます。三代目の高校時代にお父上が亡くなって、それから落語の世界に入りはったのやそうな。ちょっと前までは春菜というてはったのが、おととし、めでたく三代目を襲名しはりました。

ふつう、三代目いうたら二代目のお弟子さんとか、そのお弟子筋でおますのやけど、三代目春蝶はんは、二代目が亡くなってからこの世界に入りはったので、お師匠さんは二代目と同じく、春團治師匠でおます。そやさかい、春團治門下には、春蝶さんが二代目と三代目と二人おられるという、ちょっと破格なことになっておりますねん。

さて、今日は三代目のお弟子さんの紋四郎はんが前座をつとめはりました。

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お師匠はんの三代目春蝶はんもええ声やけど、そのせいでおまっしゃろか、紋四郎はんもええ声でおます。堂々として先が楽しみでおますな。阪大中退という、変わり種でおます。お題は「平林」でおました。

二番手は、前回の主役をつとめていただいた桂文三さんでおます。

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古い寄席の形式やと、前座の次に出るのは「二つ目」というてあまり格が高くないのやけど、この落語会は勉強会でもあるよって、そういう順番は関係おませんねん。ぜいたくな会でおます。

文三さんは十八番のひとつ「崇徳院」でおました。高津神社で生まれた恋でみなが右往左往するっちゅう、きれいなお話でおます。文三さんの「崇徳院」はまた、聴きごたえがおますのや。

ほんで、中トリにいよいよ春蝶はんのご登場でおます。いきなり「崇徳院」みたいな大きなネタが出てきたさかい、今日はいったいどないなるやろと思っておりましたら、なんとまあ春蝶はんは「地獄八景亡者戯」(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)でおました。

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これは、上方落語の中でも一番の大ネタのひとつでおます。戦前でほとんど絶えておったものを、桂米朝師匠が掘り起こして、今の形に仕上げはったのやそうな。サバにあたって死んだ男があの世へいって、生前のお仲間と合流して三途の川を渡って閻魔さんの前へ出るという、しまいまでやったら1時間や1時間半はかかるという大きなネタでおます。

今日はもちろん、はじめの方だけでおましたのやけど、時事ネタをようけ入れられる噺でもおまして、春蝶はんのくすぐりはほんまに面白いもんでおました。古典でもあり、新作でもあるようなところが、この噺の面白いところでおますな。なかなか聴ける噺やないさかい、今日のお客様はお得でおましたで。わての「太郎寄席」では、こういう試みをこれからもドンドンやって欲しおますな。

さて、中入りの後は林家花丸はんでおます。文三さんと同期の、実に巧みなお方でおます。なんとも言えん大人の男の色気があって、お姉さまがたにえらい人気があるのやそうな。

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今日の花丸はんのネタは「あくび指南」でおました。これまた変わったネタでおますな。こういう、なんかしらん、つかみどころのないようなところが花丸はんの持ち味でおまっしゃろかなあ。

ほんで、トリでもういちど春蝶はんでおます。今度は「八五郎出世」というお芝居ネタでおました。八五郎がお殿さんに招かれてお酒を飲む場面、今日のお客さんもシン、として春蝶はんのしぐさに観入ってはりました。

ふつう、高座へ上がる噺家さんというのは着流しに羽織という姿でおますのやけど、春蝶はんはいつも、袴を着けておられますのやな。ほんで、今日のトリのときの袴は、なんでも藤山寛美はんの形見分けの品なそうな。まだこれまでにいっぺんしか穿いたことがなかったのやけど、この道頓堀Zazaのある中座といえば寛美さんの舞台やということで、今日はわざわざ出して来やはったのやそうな。ええお話でおます。

こないなわけで「くいだおれ太郎の 道頓堀 太郎寄席」、まだ始まったばかりやけど、中身の濃い会になっておりますねん。あとは、もうちょっとお客さん、来てほしおますな。まだ赤字でちょっとしんどいのでおますけど、がんばって続けてゆきますさかい、みなさん、どうぞごひいきにお願いいたします。

こないして、わても受付に座っておりまっせ。

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というわけでおまして、わてが席亭をつとめます「道頓堀 太郎寄席」、いよいよ始まりましてん。
こけら落としの「文三三席 三連夜」のその初日、サプライズゲストですねん。
お客さんもびっくりしはったかしらんけど、わてらもびっくりしましてん。
この日の朝、笑福亭鶴瓶師匠から文三さんに電話があったそうな。
「今夜、落語会やるらしいけど、わしも喋らせてもらえへんやろか?」
文三はんもさすがにびっくりやったそうな。
「師匠、そら、かましまへんけど、ギャラなんてようお払いしませんで」
「そんなもん要るかいな、わしが払うたるわ!」
かけあいがすでに落語でおますな。鶴瓶師匠は天満天神さんの繁昌亭では、ようお弟子さんの会に飛び入りしはるのやそうなけど、こんなでけたての小さな小屋で、しかも弟子筋でもない文三さんの会に来てくれはるなんて、夢にも思うてまへんがな。

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小さい会場ながら、50人くらいの盛会ではじまりましてん。いっぱいでおましてん。
わては席亭やさかい、舞台の前の下手でこないして控えておりますねん。

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まず、文三はんの短い噺、「動物園」ではじまりまして、続いて、桂まん我はんの「寄合酒」。おなじみの定番でおますな。

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ほんで、文三はんもういっぺんの「宿替え」でおます。東京では「粗忽の釘」いう番組でおます。
そのあとの、中トリで鶴瓶師匠でおますねん。そのお師匠はんの笑福亭松鶴師匠のお話の枕から、「かんしゃく」というお噺を、松鶴師匠にあてて改造しはった噺。 
「短い噺をな、ちょっとしゃべらせて」
いうて言うてはったそうなけど、たっぷり一席聞かせていただきましてん。お客さんも大喜びでおました。わても楽しゅう聴かせていただきましてん。

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ほんで、中入りの後に、文三はんお得意の「高津の富」で締メでおました。小さい小屋でやりはることはなかなかない噺やそうな。小さいところでやるのが難しいそうでおますけど、今日はお客さん、シン、として聞き入ってはりましてん。

小さい小屋やさかい、お客さんの顔が見えるし、お互いの息遣いもわかる。そういうところで時々はやらしていただかんことには、勘が狂って自分の噺の間やらテンポがわからんようになりますのや、ということでおますねん。そやさかい、今日はええ会をさせていただいた、いうて、文三はんに言うていただきましてん。落語もなかなか難しいもんでおますな。
今日はお客さんも落語の好きなお方ばっかりやとみえて、ええ落語会になりましてん。
鶴瓶師匠は、上方落語協会の副会長をしてはりますのやけど、なんや、今日の飛び入りは、わてらにご祝儀をいただいたような、そんな花をしていただいた心持でおます。

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文三さんのお師匠さんの五代目文枝師匠が、若いころに先代の五代目松鶴師匠のもとにおらはったこともあって、鶴瓶師匠のお師匠はんの六代目とは兄弟分やったそうでおますねん。そんなご縁で、生前の五代目文枝師匠の独演会に鶴瓶師匠もお出でになったこともあり、いろいろ気にかけてくれてはりますように思いますねん。
文三さんのご人徳でおますな。幸先から、ええご祝儀でおました。


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中日二日目は、鶴瓶師匠のお弟子さんの笑福亭銀瓶はんでおました。
こちらは、さいしょからちゃんとゲストにお願いしておりまっせ。
文三はんと銀瓶はんは、二人会もようやってはるさかい、楽屋のやりとりも息が合うてはりますなあ。
銀瓶はんは「七段目」でおました。芝居が材料になっている噺で、東京の噺家さんがたもようかけはる演目でおますが、もともとは上方のお噺やそうでおますな。銀瓶はんはスッとしてはるさかい、芝居がまたよう映えますのやな。「はめもの」言いましてな。途中で生の三味線が入る、芝居仕立ての落語は上方落語の醍醐味のひとつでおます。

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この日はまた今日になってからのこっちゃけど、ゲストで林家卯三郎はんが前座を務めてくれはりましてん。お題は「てっちり」でおます。和やかな席でおました。
文三はんはそのあとに、中入りをはさんで三席つづきでおました。まずは「四人癖」という軽いお噺、ほんでから「替り目」。文三はんはほとんどお酒を召し上がらへんのやけど、文三はんの陽気な酔っ払いは絶品でおますなあ。
ほんで、中入りをはさんで「井戸の茶碗」でおました。ええお噺でおますな。これはもともと東京落語のお題なのやそうですなけど、わては上方風にやってもらうのが好きでおますねん。地名も、上方風のほうがなじみがありますさかいな。お噺の筋には笑わせるようなところはあまりおませんのやけど、なぜかよう笑いましてん。

さて、楽日の三日目、日曜日はあいにくの雨でおましたが、ようお運びでおました。
この日は講談の旭堂南青はんがゲストでおます。落語会に講談とは、とお思いになるかもわからしませんが、わてのリクエストでおますねん。文三はんの落語会に南青はんがちょこちょこお出でになっておって、これがまた面白うおますねん。まだお若いのやけど、話はうまいし、ほんでまた、よう笑えますねん。上方の講談ちゅうもんは、笑いもとりはりますのやなあ、ということで、おこしいただきましてん。

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今日の文三はんは、まず最初に「時うどん」でおました。定番中の定番でおますな。そやけど、東京のお方は上方の「時うどん」はあまりご存じおまへんやろな。上方のは「時そば」と違うて、一人ずつやのうて、はじめに二人で出てきますねん。まあ、そんなアホなことする奴があるかいな、と思うような噺になっておって、それがまた面白いのでおますな。上方でも長いことかかっておらなかったものを、文三さんのお師匠はんの五代目文枝師匠が40年ぶりくらいに復活させはってから、ようかかるようになったそうな。

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ほんで、南青はんは「木津の勘助」というお話。落語と違うて、やっぱり講談はお芝居の色が強うおますな。大阪の「勘介島」という島を作った、大阪の侠客のお話でおます。南青はんはまた男前が良うて声もええさかい、こういうお話も似合うておりますな。
さて、中トリはまた文三はんで「桃太郎」。ほんで、中入りのあとのトリは「莨(たばこ)の火」という、大阪のお大尽のお噺でおます。こういう旦那さんが出てくる噺は、文三さんまた上手でおますねん。これも鳴りものが入りまして、華やかなお噺でおました。

お客さんの中には、三日ともお越しいただいた方もおましてん。ほんまにありがたいことでおます。
おかげさまで、「くいだおれ太郎の 道頓堀 太郎寄席」、初回の「文三三席」をつつがなく終了いたしましてん。三日間、三席ずつやっていただいた桂文三師匠、ほんで鳴り物をやっていただきました吉崎律子はん、笑福亭鶴瓶師匠はじめ、ゲストのみなさんに、何よりも、お運びいただいたお客様のみなさん、ほんまにおおきにありがとうさんでおます。

次回は11月7日の月曜日に開かしていただきますねん。今度は桂春蝶はんの二席に、ひきつづき桂文三はんと、林家花丸はんのご登場でおます。
みなさん、またぜひお運びのほど、よろしゅうおたの申しますねん。