メインスタッフ: 2013年3月アーカイブ

今年から二人会形式でやっております、「道頓堀 太郎寄席 藍の会」、弥生三月は桂文鹿(ぶんろく)・桂米紫(べいし)の二人会でおました。お二人とも、今年で二十年目になるご同期さんでおます。

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米紫はんは、もうなんべんもお出ましでおます。ひょっとしたら、こけら落としの文三師匠を別にしたら、「太郎寄席」最多出演かもしれまへんな。ありがたいことでおます。
今日の米紫はんは「みかん屋」、「高津の富」でおました。「みかん屋」は前座噺でおますが、中堅くらいの噺家はんの前座噺というのも、力があってええもんでおます。
「高津の富」は難しおますねん。無一文のくせして大金持ちみたいなホラを吹くおやっさんを、どないにはんなりとそれらしくやるのかが難しやろなと思いますねん。今回の「高津の富」でユカイでおましたのが、ついでに出てくるような役まわりでおますねんけど、高津のお宮さんでのろけまくるオッサンでおました。「あれがやりたいからこの噺をしてますねん」いうて米紫はん、笑うてはりましてん。さすがに聞かせますねん。楽しおましてん。

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文鹿はんは二回目やと思いますねん。去年、笑福亭鶴二師匠のゲストでお出ましでおました。
まずは「馬の田楽」でおました。これは、とりとめもないような噺でおまして、米朝師匠があるとき「この噺は『立ち切れ線香』とおんなじくらい力のいる噺や、なめてかかったらあかんデ」とおっしゃったくらい、難しいネタやそうな。
なるほど、そない思うて聴いておりますと、確かにメリハリをつけるのが難しおますのやろな。なにせ、何者ンかようわからんオッサンが主役で、あとはやんちゃな子供ばっかりでおますねん。よう考えてやってはりまして、わてはユカイに聴いておりましてん。
文鹿はんのもう一席は「親子茶屋」いうて、もう十年以上かけてなかった噺なんやそうな。なんでも、昔プロボクサーと兼業でやってはって、減量のいちばんシンドイときに高座へかけてえらい失敗して、それからいっさいやってないという、そういうイワクつきの噺なんやそうでおます。
お茶屋通いの道楽息子と、それを叱る親旦那さんの噺でおます。ところがこの親旦那さんというのも実は相当な遊び人でおまして、お茶屋さんで隠れ遊びをしているところ、「粋な人もおるもんやな」と上がっていったのがその若旦那さんなんでおます。
長いことかけてはらへんかったとは思えんかったんでおまっせ。やっぱり、よう研究してはるのでおますな。ええ厄落としになったのやったら、わてもうれしいことでおます。

「道頓堀 太郎寄席」は、よそでかける機会のない噺なんかもどんどんやって、芸を磨いてもらうために作ったようなもんでおますねん。こういう珍しい噺で、どんどん腕試し、腕磨きをやってくれはったら、ほんにありがたいことでおますねん。

そんな落語会なんでおます。みなさん、ぜひお運びのほど。今後も「道頓堀 太郎寄席」、どうぞご贔屓によろしゅうおたのもうしますねん。
「道頓堀 太郎寄席」2月の「松の会」は桂南天師匠の会でおました。
去年襲名をはさんで、乗りに乗ってはる南天師匠は二回目のご登場でおます。

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今年毎月ネタおろしをやる、ちゅうことに決めてはるそうでおます。ネタおろしというのは、今までにお客様の前でやったことのない噺を初めてかける、ということでおますな。これが、なかなかわてら素人が思うておるほど気楽なものではないそうでおまして、まだ若い前座の頃は、お師匠はんから「あれをやってみい」とか「それはまだ早い」とか、そういう指導もあるのでおますが、独り立ちすると、何をやるかもみな、自分ひとりで決めんならんのでおます。

これが気楽な若いうちであれば、あれも、これもとやりはるのかもしれませんが、中堅、ベテランとなってくるとネタおろしも容易なことやおまへんそうな。やってみてウケるか、どうか、噺そのものの良しあしもさることながら、何を誰がやっても同じということがあらしまへん。相性というものがおます。また、ほかの噺、とくに十八番の噺であれば何年も何年もかけて磨きこんで自分の味、ちゅうもんになっております。新しくやる噺をそこまでもってゆけるか、いうたら、それはなかなか難しおまっしゃろ。

落語ゅうもんは、一人で壁に向かってやってもなんの面白いこともないようでおますな。やっぱりお客様が目の前にいてはって、その反応を手に取るように感じながら、間のとりかたやら重ねかたやらくすぐりかたやら、隅から隅まで神経をつかって演ってはるのでおまっしゃろな。そやさかい、同じ噺をやっても毎度毎度、違うものになるわけでおます。お客様が違うたら、会場が違うたら、少しずつ別のものになるのでおます。

年月重ねて磨いた噺というのは、そういう経験を重ねてきたもんでおますさかい、なんぼ稽古してきたいうたかて、初めてかける噺ではそこまでゆかんもんでおます。どこがウケるのか、どこはウケんのか、会場によって違うもんを最初から予想することはでけんわけでおますな。
 
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ほんで、今回の南天師匠でおます。今月はネタおろしがまだなのやそうで、わての「太郎寄席」へ持ってきてくれはったというわけでおます。ネタは「幽霊の辻」でおました。少し前に、桂さん吉はんもかけてはった噺でおますな。夕方遅うなって、山奥の方へ遣いへやらされる男衆(おとこし)はんの噺で、登場人物は本人と茶店のお婆ンだけという、怪談噺でおます。男衆がお婆ンに、道中のあれやこれやをさんざんおどかされて・・・、ちゅう噺でおますねん。

南天師匠は、こういうお調子乗りをやるとバツグンに冴えはるのでおますな。ネタおろしと言われんかったら、もう何べんもかけてはる噺やと思いますがな。

もう一番は、「らくだ」でおました。これまた、めったにかけはることのない噺なのやそうでおます。長屋の乱暴者が死んで、その葬式出すのにこきつかわれる羽目になったくず屋はんが主人公でおます。はじめはおとなしい、泣き言ばっかり言うてるくず屋が、酒が入るほどにがらっと変わってゆくところが面白うおます。

南天師匠はお酒を召し上がらんのやそうでおますな。文三師匠もそうでおますが、下戸の師匠というのは、上戸の酔っ払いを冷静にカンサツしてはるんでおまっしゃろか・・・。ほんに、ようでけた酔っ払いでおましてん。

「道頓堀 太郎寄席」というのは、こんなふうに、思い切ったことを試してもらう場としてはじめたのでおます。

もちろん思い切ったいうたかて、何をやってもええということやおまへん。それなりにちゃんと考えて、ご自分なりに稽古しはった、そういう成果を問う場所として使うてほしいと願っておるのでおます。ほんで、やっぱり「怖さ」というもんがわかってはる中堅ともなると、やっぱりちゃあんと作りこんできはるもんでおますな。

今日ネタおろしと、めったにかけん噺と、そういうのを二席聞かしてもろうて、お客様にもさぞ喜んでいただいたことやろと思うておりますねん。「太郎寄席」もええお客様がついてくれてはるのでおまっせ。

どうぞ皆様、今後も「道頓堀 太郎寄席」、ご贔屓におたのもうします。ほんで、まだお越しやないお客様、「太郎寄席」はええ噺を引き出してくれますさかい、安心してお運びを。わても客席でお待ちしておりまっせ!
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