「道頓堀 太郎寄席」もようよう半年を迎えます。
おかげさまで今月からは月半ばに「藍の会」、月末ころに「松の会」と銘打って、月二回ずつやらしていただくことになりました。
さて「藍の会」の第1回めは、先月ゲストでお出ましいただきました、月亭遊方はんがメイン出演者でおます。
まずは笑福亭智六はんの前座は「動物園」でおます。ええお年なのやけど前座で出てはるのは、入門が遅うて、まだ芸歴も浅いということでおます。さすがにおちついた前座はんでおますが、「動物園」を前座でやるというのもまた大胆な趣向でおますな。長うもなる噺をくるくるっとまとめたような印象でおました。
ほんで、遊方さんの出番でおます。お噺の「隣人(ネイバーズ)」は遊方はんの自作の噺やそうで、いかにも現代的なマンションが舞台なんでおますけど、舞台の設定としては古典的な長屋暮らしをひとひねりしたようにも思えますな。なるほど、幕末の落語の庶民が現代になったらこないなるかいな、とも思える、ようでけたお噺でおました。
今日は、ここで中入りでおまして、つづいて桂米紫はんの「宗論」でおます。信心深い船場の旦さんのとこのボンがキリスト教になってしもて、旦さんが意見する噺でおます。ボンボン、日本人なのやさかい日本語でしゃべればええところを、いかにも外人が日本語喋っておるかのようにやってはりますのや。それがまた、いかにも西洋の宗教にかぶれた若旦さん、という風情で妙なリアリティがおますなあ。
ほんで大トリに、ふたたび遊方はんでおます。
遊方はんはたいてい新作をしやはるのやと思うておったら、今日のトリの噺は古典の「はてなの茶碗」でおました。わてが今まで観たことのある「はてなの茶碗」は、いかにも古典的なゆったりした語り口が多かったように思いますのやが、遊方はんのはすっかり遊方はんの語り口で、ぽんぽんとたたんで片づけたような、すっきりした噺でおました。
遊方はんというお方は、語り口もイデタチも、いかにもアバンギャルドな八方破れな感じでおますけど、楽屋で落語論を始めたら止まりはらへんのでおまっせ。
これからも、そういう熱心な噺家さんたちにお出ましいただいてまいります。「道頓堀 太郎寄席 藍の会」、おなじく「松の会」、どうぞひきつづきご贔屓によろしゅうおたのもうします。