3年ほど前に、お狸さまを道頓堀へお迎えしました。それからずっと、「中座くいだおれビル」でわての隣にいてはります。
このお狸さまの故郷、淡路島の洲本で「全国たぬきサミット」という催しがおましてな。狸の民話を研究してはる「日本たぬき学会」の大会でおます。
今年は、洲本にあるお狸さまの祠、あの、道頓堀の「中の芝居」、つまり中座で犬にみつかって殺されてしもうたという「芝右衛門狸」さんの祠が新しゅう、きれいになったということで、それに合わせての開催ということでおます。
祠は28年前に藤山寛美さんが三熊山の上に建てはったもので、今回はお孫さんの藤山扇治郎はんがおこしになりました。洲本八幡神社の宮司さんのお祓いで、道頓堀のお狸さんは三番叟を奉納しにお里帰りしはりましてん。
うちのお狸さんは全国でも珍しい狸の木偶(でく)人形やし、造りも衣装も立派でおまっせ。会場にいてはった関係者のみなさんもえらい感銘を受けてくれたようでおます。徳島の青年座という座の人形遣いさんも上手に遣ってくれはりましてん。
「サミット」の方は、そのあと洲本の商店街へ場所を移して、イベント会場でもういっぺん三番叟を舞うたり、扇治郎さんの「道頓堀のお狸さま」の朗読があったり、おしまいは「狸のパレード」でおました。
洲本という街は小さい街でおますが、昔からの交通の要衝だっただけあって、今でも雅(みやび)が残っておりますなあ。
秋晴れにめぐまれまして、ええ一日でおました。