太郎寄席 文三三席

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霜月11月の太郎寄席は、ちょっと趣向を変えておりましてん。

まずは一昨年のこけら落とし以来の、「文三三席」でおます。

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 こけら落としの「文三三席」は、桂文三師匠のご希望でおましたのやが、なかなかの好評でおましてん。

 ほんで、機会があったらまたやりたいなアと思っておりまして、「藍の会」の方をちょっと数を減らして、「三席」の会をぼつぼつとやってゆくことになったのでおます。

 

 「道頓堀 太郎寄席 三の会」と題しまして、その第一回は、やっぱり桂文三師匠でおます。今回のお噺は、「親子酒」「みかん屋」「はてなの茶碗」でおました。

 ふつうの落語会では、前座から始まって、東京で言うところの二つ目、ほんで中トリ、大トリ、というように、最初は軽くて短いお噺からだんだんと長うて難しい噺へと構成を考えるもんでおます。

 ところが、今回はどれもそれなりに長いお噺ばっかりでおますねん。

 「親子酒」は、呑兵衛の父親と息子が、それぞれいつものように酔っぱらって家へ帰ってきて、しょうもない親子喧嘩をする噺でおます。噺の筋はそれだけでおますさかい、あちこちのくすぐりで楽しませるのがなかなか難しい噺でおますのやが、中に、先に帰った父親の方が、息子の嫁に向かって、「あんな飲んだくれの息子は勘当して、あなたには、もっと良い婿を探してあげます」というわけのわからんことを言うくだりが、わては好きでおますな。

 お嫁さんはもちろんでおますが、酔っ払いの父親も息子も、人が好うて憎まれんところがこの噺の魅力でおます。文三師匠はお飲みになりはらへんのやけど、毎度のことながら酔っ払いの描写は上手でおます。

 

 「みかん屋」は、東京の「かぼちゃ屋」の元になったお噺でおます。ぶらぶらして遊んでおる男が、伯父さんからみかんの行商を勧められてはじめるスカタンな噺でおます。そのみかん屋の男が、まわりくどい話をしたり、一人合点したり、そういうめんどくさいところがくすくす可笑しいのがこの噺の見どころでおますな。そういうスカタンをいかにもスカタンにやるのが文三師匠の魅力でおます。

 ほんで、大トリは「はてなの茶碗」。文三師匠の十八番でおます。主人公の、大坂出身の気の早い油屋と、おっとりした京都の茶道具屋の旦那の金兵衛さん。どちらも文三師匠お得意の役回りでおます。嘘から出たまこと、みたいな愉快な噺でおます。いかにも上方の「商い」を描いたような噺でもおますな。


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 久しぶりの「文三三席」、お客様にも楽しんでいただけたようでおます。寄席というところはいろんな噺家さんを聴けるのが魅力でおますが、たまにはこういうところで、贔屓の噺家さんをたっぷりお聴きいただくのも楽しみやと思いますねん。

 噺家さんによっては、「三席も演るのはかなわん、体力的につらい」とおっしゃる師匠もいてはりますのやけど、がんばってほかの師匠にも「三の会」にお出ましいただいてまいります。脂の乗った師匠がたのお噺をたっぷりとお楽しみいただくというだけやのうて、ふつうはあんまり観ることのない前座噺みたいなんも、楽しみでおます。前座噺も、ベテランの師匠がかけると見違えるように違うのでおます。

 次回の「三の会」は春ごろに、林家花丸師匠にお出ましいただく予定でおます。どうぞ、お運びのほど。