太郎寄席 十月の「松の会」

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涼しゅうなってきたなと思うたら、もう十一月が目の前でおました。

今月の「道頓堀 太郎寄席 松の会」は笑福亭生喬師匠の会でおます。

 

「太郎寄席」も二年やっておりますとだいたい顔ぶれもそろってくるのでおますけれども、今回は珍しくゲストも前座も初のご出演でおました。

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前座は桂小梅はん。桂梅団治師匠へ入門三年目というところでおますけれども、二十歳そこそことは思えんほどの落ち着きなんでおました。

活舌はあんまりええことあらしまへんのやけど、なんやしらん、聴かせますねんな。お題は典型的な前座噺の「しまつの極意」でおましたのやが、ぐっと惹きつけて笑わせてはりましてん。

本人の素質かお師匠さんの指導かわかりませんが、たいしたもんでおます。とはいうても、あんまり若いうちから誉めたらあとであかんようになることも多いさかい、あんまり誉めてもあかんのやけど、なかなか聴かせる前座でおました。

 

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ゲストの桂歌之助はんは、入門が遅かったよってまだ芸歴は十五年ほどでおますのやけど、年齢なりなのかどうなのか、落ち着いてしっくりした噺でおました。お噺は「悋気(りんき)の独楽(こま)」でおます。登場人物が多いせいか、噺家さんごとに色合いが違うところが面白うおます。

歌之助はんはちょっと女形みたいな細身のせいか、主役のご寮さんがよう映えてはりましたな。

 

ホストの生喬師匠は、まずは「しらみ茶屋」でおました。お茶屋遊びに飽きた旦那さんが、お茶屋にしらみをもちこんでいたずらする噺でおます。噺の筋はたいしておかしいもんやおまへんねん。登場人物の描写がすべてみたいな噺でおます。

面白おましたな。これは、かゆがっているところがわかるようにやらんとお話にならんし、かといってやりすぎてもあかんように思いますねん。もともとお歳のわりに落ち着いた感じの師匠でおますが、このところまたいっそうどっしりしてきはったようで、やかましいことのない、ええお噺でおました。

 

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さて、今日は中トリに「悋気の独楽」というちょっと大きな噺が出てきましたのやが、大トリは予告の「らくだ」でおます。

「らくだ」は、生喬師匠の大師匠にあたる、六代目松鶴師匠の右に出る者はないと言われたほどの噺やったそうでおます。生喬師匠のお師匠さんの松喬師匠も持ちネタにしておられたそうでおます。

長い噺で、今日もマクラなしにいきなり始めて、軽う一時間を超えておりましたな。それが、中途でだれることもなく、飽きるお客さんもなく、一気にしまいまで聴かせはりましてん。あちこちに笑いがあって、人情もあって、えらいもんでおました。

このお噺は力がいりまっしゃろなと、あらためて思うた次第でおます。ええもん、聴かせてもらいました。

松喬師匠は、ついこないだお亡くなりになりましたな。入退院しながら、落語のネタを勉強しては手を入れてはったそうでおます。

笑福亭はあんまり襲名を重ねんようでおますが、お師匠さんがお亡くなりになるというのは、ちょっと襲名に似たようなところがおますのやろか。今日は、お師匠はんのことを考えながらの噺やったとおっしゃっておりました。気のせいか、生喬師匠も一段落ち着きはったように思いますねん。

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さて、十一月の太郎寄席は豪華でおまっせ。

十九日(火)に桂文三師匠の三席の会。二十八日(木)の「松の会」は林家花丸師匠の会でおます。

その自分はもう紅葉の季節でおますな。ええ季節でおます。どうぞ、お越しやす。わても、こないして客席の端っこに座っておりますねん。

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