太郎寄席 弥生の「松の会」

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「道頓堀 太郎寄席」、弥生三月の「松の会」はおなじみ、桂文三師匠の会でおました。

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今回は珍しいゲストでおましてん。東京の林家二楽という紙切りの師匠でおます。
かねてより、二楽師匠と文三師匠はおつきあいがあったのやそうで、たまたま二楽師匠が上方へ来ておられた機会に、お出ましいただいたのでおます。
東京でも紙切りの師匠は少のうなっているのやそうでおます。本場東京でも少ないのやったら、上方ではなおのこと珍しい出し物でおますねん。
二楽師匠は上方がお好きやということで、サービスも満点でおます。調子よう語りながら、チョキチョキと、あっという間にややこしい絵を切りぬいてしまうのでおまっせ。

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まず最初に「桃太郎」から始まりまして、お客さんのリクエストを受けて、即興で切りはりますねん。この賑やかなのは「お花見」でおます。みごとなもんでおますなあ。わての絵も切ってくれはりましてん。きっと初めてのことやさかい、えろうむづかしかったのやないかと思いまっせ。
二楽師匠、これから上方でもお仕事をようけしたい、とおっしゃってはりましてん。今日のお客様もみなさん大喜びでおました。大阪ではまだまだ珍しい芸やさかい、これからも「太郎寄席」にバンバンお出ましいただきとうおまっせ。


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さて、文三師匠の一席目は「グッドジョブ」という新作でおました。作家の小佐田先生が、文三師匠のために創りはった作品でおまして、今回がまだお披露目の二回目という話でおます。
軽い噺でおますが、「福の神」と「死神」が登場しますねん。これがまた、いかにも「福の神」らしい「死神」と、えろうやる気のない「福の神」さんなんでおますが、それがまた妙にリアリティがおまして、文三はんがえらいうまいこと演りはりますねん。
新作いうても舞台は長屋の江戸時代そのまんまでおますさかい、古典やいうても通りそうな話なんでおます。噺の作りもよう考えてあるし、文三はんがまたえろう合うてはるし、はじめからしまいまで、お客さんも笑い通しでおました。

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大トリの二席目は、「お文さん」という、船場のおうちのお噺でおます。
大店の若旦那はんと、そのお妾さんをめぐる噺でおます。これまたちょっとリアリティのある噺でおましてな、ちょっとかわいそうなところもある噺なんでおます。
最近の文三師匠、「立ち切れ線香」といい「お文さん」といい、新しい境地を開拓してはりますねん。こういう、ちょっとかわいそうな噺でも笑わせてしまうというというところが上方落語の魅力でおます。無理やり笑わすのやのうて、ちょっと我に返ったようなところやら、ちょっと「気」を抜いて思わず笑うてしまうのでおますが、それがリアリティでおますねん。
「お文さん」には、しまいの方に煮ても焼いても食えん、こわいこわい女子衆(おなごし)はんが登場するのでおます。「悋気の独楽」や「猿後家」にも登場する、あの女子衆はんでおます。これが文三師匠の十八番でおまして、もう、お客様はこの女子衆が出て来たとたんに笑いはるのでおます。

今日も、聴きごたえのある寄席でおましてん。

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今日は前座もひさしぶりの講談で、旭堂南斗はんの「山内一豊」でおました。こけら落としの「文三三席」にお出ましいただいた南青はんの弟弟子さんでおます。講談、紙切り、落語と、ちょっと寄席らしい宵でおました。
また、こういうたのしい趣向を重ねてまいりますさかい、みなさん、どうぞお運びのほどを。