道頓堀 太郎寄席 1月の会

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このお正月はえらい寒うおましてん。大阪でもめったに降らん雪がちらちらとしておりましてな。小寒、大寒の中の「道頓堀 太郎寄席」でおましたが、みなさんお運びいただきまして、おおきにありがとうさんでおます。

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18日の「藍の会」は、笑福亭由瓶はんと桂しん吉はんの二人会でおました。お二人とも去年の五月の会以来のご登場でおます。
由瓶はんは丹波のご出身でいてはりますのやけど、丹波が田舎や、田舎やと言われてかなわん、ということをマクラに振りはりますのやな。そやけど、わてとこの先代は但馬の出身でおますけど、但馬の方が丹波よりもっと田舎やと思いますねん。なんちゅうても、丹波のJRはぜんぶ電化しておりますのやけど、わてとこの香住はまだ電化しておりませんねん。
由瓶はんの出し物は「転宅」ちゅう、間抜けな泥棒の噺と、新作の「足袋と帯」という噺家さんが主人公になっている、ちょっとリアルなお噺でおました。「足袋と帯」はなかなか聴けんさかい、これを目当てに来ておられたお客様もいてはりましたな。ちょっと噺家はんの世界が垣間見えるお噺でおました。

しん吉はんは業界でも有名な「鉄っちゃん」でおまして、今日も「地下鉄」というお噺がかかってはりました。まだ大阪に地下鉄ができたばかりの時代が舞台で、ばかばかしい洒落つづきですが、「鉄っちゃん」が演ってはるだけに、おかしおますな。
何のご縁か、由瓶はんのお郷の丹波で呼ばれていったときに、地元が「電車の複線化を」いうて言うてはるところで「今のままの単線の方が風情があってよろしい」と言うて白けさせてしもうた、というマクラをしてしてはりました。
むずかしい問題でおますな。便利になったらかえって悪うなることも多いと思いますのやが、不便ちゅうのはやっぱり不便でおますさかいな。そやけど、自宅に線路を引いてはるほどの「鉄っちゃん」の発言も貴重やと、わて、思いますねん。
しん吉はんのもうひとつのお題は「かぜうどん」でおました。東京では「うどんや」というやつでおますな。五代目小さん師匠がお得意にしておられたようでおます。冬らしいお噺でおました。


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さて、変わって28日の「松の会」は笑福亭鶴二師匠の会でおました。この日はまた朝から寒い日でおまして、関西でもあちこち雪が積もっておりましたな。鶴二師匠は、お正月らしいお噺をかけてくれはりましてん。

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前座は桂治門はんの予定が、飛び入りで桂紋四郎はんでおました。紋四郎はんは三代目春蝶はんのお弟子さんで、「太郎寄席」にも何度か出ていただいておりますのやけど、しょっちゅう楽屋にもおこしになってお馴染みさんでおます。お噺は「延陽伯」でおました。お公家さんのことばをしゃべるヨメはんが来るというやつ、「ああら、わが君」ちゅうやつでおますな。すらすらっと、ええリズムで話しはりましてん。よう稽古してはりますな。

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つづいて鶴二師匠は「替り目」でおます。このお噺はいろんなところで切ることができるようでおますが、今日はしまいまでかけはりましてん。これも冬のお噺でおまして、聴いておるとお燗酒やおでんや鍋焼きうどんが欲しゅうなりますねん。鶴二師匠はリズムがよろしおますなあ。扇子を二合徳利に見立てるところもリアルでおますねん。

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中トリは瓶吾師匠でおます。鶴二師匠によれば「メッタに見られる芸人やない」、珍しいお方やそうでおますが、どういう意味でおまっしゃろか。お題は「看板の一(ピン)」でおました。

中入りのあとに、治門はんの「真田小僧」で、大トリでもういっぺん鶴二師匠でおます。治門はんは二回目のご出演でおました。
鶴二師匠の大トリは「七段目」でおます。ここ、道頓堀にふさわしい芝居噺でおますねん。お正月らしい、道頓堀らしい噺ということで、鶴二師匠がかけてくれはりましてん。
江戸時代には「道頓堀五座」いうて、大きな芝居小屋がようけあったせいか、上方落語には芝居噺がようけおますな。江戸は「三座」やさかい、やっぱり道頓堀の方が大きかったんでおまっしゃろか。
「七段目」は東京落語でもようかかるお噺のようでおますな。上方と東京とでは同じ噺でも趣向が変わることが多いようでおますけれども、このお噺はどっちで聴いてもおんなじように面白うおまして、わての好きな噺なんでおます。

来月の太郎寄席は、14日に桂紅雀はんと林家染弥はんの二人会、25日に桂南天師匠の会でおます。
また、五月から今日の笑福亭鶴二師匠と桂紋四郎はんの会もはじまりますねん。
今年も「道頓堀 太郎寄席」、どうぞごひいきによろしゅうおたのもうしますねん。