太郎寄席 8月の松の会でおます

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もうすっかり秋になってしまいましたのやけど、「太郎寄席」の8月のお話でおますねん。
えらい、遅うなって申し訳おまへんねんけど、この会のことはやっぱりお話ししとかんとあきませんねん。

8月の「道頓堀 太郎寄席 松の会」は、この春に襲名しはった、桂こごろう 改メ 桂南天師匠でおますねん。
わてはこごろう時代から2,3年拝見しておりますのやけど、やっぱり襲名というのはえらいもんでおますな。ここ1年ばかり、ぐっと芸に凄味が出てはりますねん。

前座の桂そうばはんが、ざこば師匠に「破門や!」言われて往復切符買うてもろてただの里帰りになった話も面白うおましたし、ゲストの笑福亭喬若はんの、「長短」という、極端に気の長い男と気の短い男の噺も愉快でおましてんけど、今回のお話はやっぱり南天師匠でおますねん。

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南天師匠のお噺、まずは「つぼ算」でおました。壺屋に壺を買いにいって、勘定をうまいことごまかして、小さい壺の値段で大きな壺を買う話でおます。噺のしまいのところで、うまいことごまかしたろ、という徳さんと、ソロバンが合うてるようなけど、銭函の銭が合わんと首をひねる番頭のやりとりが面白うおますねん。
観てる方はすっかりわかっておりますねん。そやさかい、番頭がいつ気づくか、気づかへんか、と思わせるところをしつこうやるのが見せ所でおます。

落語、特に上方落語というのはそういうところがおますな。わかってある繰り返しを延々とやるのやけど、わかってるのに面白い。これが、下手な噺し手やったらあきまへんねん。わかったさかい、先へ行っておくなはれ、ちゅうような感じになってしまいますのやが、上手がやると、わかってるのやけどなんぼでも聴いて、笑うてしまいますねん。

南天師匠は、ゲジゲジの眉毛も上手いこと使うてはりますねん。この番頭が、賢いような、アホなような、わかったような、わからんようなところの表情がよろしおますねん。

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もう一つのお噺は、大トリでおます。「だんじり狸」。小佐田定雄センセイの作品でおますな。夏らしい、ちょっとお化けっぽい噺でおます。怪談噺でおまっしゃろか、人情噺のハンチュウでおまっしゃろか。子供を喜ばそうと思うて、雨の晩には狸がだんじりを鳴らすのや、いうたおっさんが、自分でやらんならんことになって、よう続かんようになったある晩、ほんまに狸がだんじりを鳴らした、ちゅう噺でおます。

最近の南天師匠は、こういう、シン、とした演出の怪談噺がお得意なような印象がおますねん。いただいた色紙には、「ひょうひょうと生きる 二代目桂南天」とおましてん。次回のお出ましが楽しみでおますねん。