「道頓堀 太郎寄席」5月の藍の会

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 まいどおなじみの太郎寄席、5月の藍の会は「鉄ちゃん」の桂しん吉はんの会でおます。
 前座の桂そうばはんは、お名前のとおり、ざこば師匠のお弟子さんでおます。ざこば師匠いうたら、「くいだおれ」でもおなじみでおまして、閉店の日の宴会にもお越しになりましてん。いっぺん太郎寄席にご出演いただけへんやろか。ざこば師匠の人情噺は絶品でおますねん。

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 さて、そうばはん、なんやギャンブルの話のマクラでおます。ほんまにやってはるのやろな。えらい詳しい話でおます。今日の会はしん吉はんといい、そうばはんといい、なかなかディープなマクラの噺家さんばかりでおますな。
 ギャンブルの話やさかい、ネタも「たぬ賽(たぬさい)」でおます。これは東京でも大阪でもようやる噺のようでおますな。ユカイな小品でおます。ほんまにギャンブルやりはる人の噺やと、なんやリアリティがあって面白おますな。

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 しん吉はんの一席目は「七段目」でおました。昔、「横丁の若様」いうて出てきはったときの東京の春風亭小朝師匠が上手でおましたのやけど、最近のお若い方はあまりご存じないそうでおますな。小朝師匠が十八番にしてはったさかい、てっきり東京の噺やと思うておりましたのやけど、もともとは上方の噺やったのやそうでおますな。最近も上方の噺家さんのほうがようけ演りはりますのやろか。大阪の「七段目」はたっぷりとハメモンが入るさかい、華やかでよろしおますのや。しゅっ、としてはるしん吉はんの「七段目」もなかなかの味でおますな。


 つづいて桂雀五郎はんは「短命」でおました。
 これは艶噺いうことでおまっしゃろな。ロコツなことは出てきませんのやけど、やっぱり艶噺なんでおまっしゃろな。そやけど、よう考えたら全然艶っぽいストーリーではなくて、勝手に妄想しとるだけやねんけど、話題になっておる娘はんがどんなベッピンさんやろか、思わせて、話がまるでわからんアホの男の鈍さのたんびに可笑しゅうてしかたがない、というところが噺家さんの腕のみせどころなんでおまっしゃろな。

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 さて、しん吉はんの大トリは、自作の新作「スシ24の魅力」というお噺でおましてん。
 これは、もう、「鉄ちゃん」の面目躍如という、ディープなディープな鉄道マニアならではのディテールの積み重ねでおます。ところが、それが鉄道マニアにしかわからんかというとそういうことではのうて、そういう細かい、「鉄」とちゃう者ンにはどうでもええようなところにこだわって噺を組み立ててゆくところが、そこがなんとも可笑しいのでおます。
 これは、新機軸でおますな。いったい、何の話をしてはるのかわからへんほどどうでもええようなことにこだわっているから、そこが面白いのでおます。
 噺、いうもんはそういうことなんでおまっしゃろな。どうでもええようなところになぜかこだわるような姿に、人間らしさが出て、おかしみがでて、そやけどなんや共感してしまうのでおまっしゃろな。ほんなら、わての噺やったら、やっぱり鉦太鼓叩いたり、首振ったりするところの噺になるのでおまっしゃろか・・・