太郎、紅白出場!

|
kouhaku.jpg

「うひゃー・・・ わて、紅白歌合戦に呼ばれましてん!」

うひゃー! びっくりしましたなあ。ほんまに呼んでいただけるとは、思うてまへんでしてん。

「大阪名物くいだおれ」は、昭和24年に創業してから、ずっと、お正月は元日からお店やってますねん。昔は、大晦日だけお休みにしておりまして、この10年ほどは大晦日もお店を開けてましてん。
今でこそ、お正月もお店が開いててあたりまえみたいですけど、ほんの10年ほど前までは、元日から開いてるいうたら、道頓堀の芝居小屋、演芸場、映画館、ほんで「大阪名物くいだおれ」くらいのもんでした。

先代さんは船場の商人(あきんど)でおましたから、元日は毎朝、家族で初日の出を拝んで、お雑煮をよばれて、お昼になる前にお店へ出て来て、お店の従業員さんたちと新年式をするのが、毎年のならわしでしてん。昔の船場の商家では、お店の番頭はんやぼんちゃんもみな、家族といっしょやから、元日から家族そろうて挨拶をするもんでしてんな。

道頓堀、いう街も芝居の街やから、お正月は役者さんが表へ出て、お正月の挨拶をしはって、大きな酒樽を割って街行く人へ振る舞うのが行事でした。
わても、毎年お正月は、道頓堀のお囃子といっしょに、朝から気持ちよお、太鼓叩いてきました。お正月、世間のみなさんが初詣にゆきはって、ご家族で街へ出て、お芝居やら映画観て、ほんでうちのお店でおいしいもん召し上がってくださるのを、太鼓たたきながら迎えするのがわての誇りでしてん。

昔は、道頓堀のお正月いうたら、そら、華やかなもんでした。
三が日で開いているとこいうたら、大阪ではほんまに道頓堀くらいのものやから、大阪中の人がでてきやはったのかと思うほどのにぎわいで、おまけにうつくしい晴れ着の娘さんもようけいてはりましたし、旦那さんがたの和服姿というのもまた、なかなかふだんとはちがう、華やかなもんでしてん。

道頓堀も年々、お正月の和服も少のうなって、おまけに芝居小屋ものうなってきて、ちょと寂しうおますなあ。
と思うてたら、今年は「くいだおれ」ものれんを下ろしてしまいましたもんやさかい、わてもこのお正月は出番がおまへんねん。

そやけど、よう考えてみたら、わては生まれてこのかた、人並みにお正月休み、いうのんを経験したことがおまへんねん。そやさかい、今度のお正月は、生まれて初めて、人さまとおなじように、お正月休み、いうもんを経験しよ、思うて楽しみにしてましてん。

それに、この10年ほどは大晦日もお店を開けてたもんやさかい、大晦日遅うなってから、「良いお年を」いうて皆かえって、明くる朝には「あけましておめでとうございます」やから、せわしない年越しやったし、紅白歌合戦かって、おしまいのほうしか観られへんかったのやけど、今年の大晦日は、おこたにあたって、みかんでも食べながら、紅白歌合戦、はじめからしまいまで観られるなあ、思うて楽しみにしてましたのや。
元日もお休みやさかい、ちょっとくらい夜更かししても差し支えまへんしなあ。

そやから、わて、今年はいつもにもまして紅白歌合戦たのしみにしてましてん。先月の発表みて、ああ、大阪からもようけ出はるのやなあ。こないだのNHK大阪の「わが心の大阪メロディー」でごいっしょさせていただいた中村美津子はん、天童よしみはん、ジェロはん・・・ キダタロー先生は出はらへんのかなあ、いうて、新聞みてましてん。

ほんなら、女将さんから、「太郎さん、大晦日は予定開けといてや。NHKさんから問い合わせあったから、よろこんで出さしてもらいます、言うといたで」いうていわれましたんや。
ええー。わて、びっくりや。わても紅白、テレビに映るんですかいな。わて、歌、歌えまへんでぇ。
「当たり前ですがな、応援に決まってますがなー」ああ、そら、そうやな。

そやけど、わて、自分が出るのもそうやけど、紅白歌合戦、いう舞台で、「紅白歌手」の皆さんといっしょに舞台やら、舞台ソデやらにおられて、紅白の舞台のほんものを観せていただくのも楽しみですねん。

わて、今からドキドキしてきましてん!
これも、この1年、みなさんが「大阪名物くいだおれ」とわてのこと、応援してくれはったおかげやと思うてますねん。ほんまに、ええ年越しさしてもらえそうで、わて、ほんまにうれしおますねん。
どうぞ、大晦日、わての勇姿しっかり観ておくんなはれ!